2025/03/19
昨年12月に令和7年度税制改正大綱が公表され、
「年収の壁」に関する改正内容に注目が集まっていますが、
そのほかにもいくつかの改正内容が盛り込まれています。
今回は、子育て支援の一環として実施が予定されている、
「生命保険料控除の一部引上げ」について解説します。
生命保険料控除とは、納税者が一般生命保険料や
介護医療保険料、個人年金保険料を支払った場合に、
一定の方法によって計算した金額を「生命保険料控除」とし、
所得から控除できる制度のことです。
現行の所得税法では、平成24年1月1日以降に
締結した保険契約を「新契約」、
それ以前に締結されたものを「旧契約」として、
保険の種類ごとに下記に当てはめて控除額を計算します。
【新契約の場合】
◎年間の支払保険料:2万円以下
控除額:支払保険料の全額
◎年間の支払保険料:2万円超~4万円以下
控除額:支払保険料×1/2+1万円
◎年間の支払保険料:4万円超~8万円以下
控除額:支払保険料×1/4+2万円
◎年間の支払保険料:8万円超
控除額:一律4万円
【旧契約の場合】
◎年間の支払保険料:2.5万円以下
控除額:支払保険料の全額
◎年間の支払保険料:2.5万円超~5万円以下
控除額:支払保険料×1/2+1.25万円
◎年間の支払保険料:5万円超~10万円以下
控除額:支払保険料×1/4+2.5万円
◎年間の支払保険料:10万円超
控除額:一律5万円
今回の税制改正大綱によると、生命保険料控除のうち、
「新契約」における「一般生命保険料」の控除額のみ、
下記のように変更される予定です。
【新契約における一般生命保険料控除の改正案】
◎年間の支払保険料:3万円以下
控除額:支払保険料の全額
◎年間の支払保険料:3万円超~6万円以下
控除額:支払保険料×1/2+1.5万円
◎年間の支払保険料:6万円超~12万円以下
控除額:支払保険料×1/4+3万円
◎年間の支払保険料:12万円超
控除額:一律6万円
この改正については、23歳未満の扶養親族を有する
納税者のみが対象となるうえ、
令和8年の1年間限定で実施される見込みです。
また、介護医療保険料や個人年金保険料を含めた
生命保険料控除の上限としては、
現行の12万円から変更はありません。
令和7年度の税制改正大綱にて、子育て支援の一環として、
生命保険料控除の一部引上げが盛り込まれました。
ただし、令和8年のみの改正であることから、
子育て支援としての効果に疑問が残る内容と言えるでしょう。